相手の弱点を攻める2009/01/09

 稽古中、技の説明をするとき「相手の一番弱いところを攻めなさい。」と言う指導者がいる。心にひっかかる。
 実際、<片手取りすみ落とし>などの技では、相手の斜め後方に自分の手を持っていって相手を落とすように投げる場合が多いが、それを「相手の弱いところを攻める」というと違和感を覚える。
 相手に片手を取られて、そこから技をかける稽古をする場合、何もしなければ投げることができない(と普通は考える)。しかも開祖は「真の武道は万有愛護、和合の精神でなければならない」と教えられた。
 何もできない。動けない。当然である。ここで何もできないことをしっかり受け止めなければならない。安易に相手を投げようとすると開祖の教えに背いてしまい、合気道の稽古とは別物になってしまう。
 そこでどうするか?ここでは、投げようとせず、開祖の教えに素直に従わなければならない。万有愛護、和合の精神で、相手を受け入れなければならない。頭で考えて受け入れるのでは受け入れたことにはならない。心から受け入れる。あるいは誠意を尽くして受け入れる。
真の武道は万有愛護、和合の精神で
 しかし心から相手を受け入れるの難しい。受け入れられない自分を禊をして落としていくのが合気道の修行であり、稽古である。心から相手を受け入れることができたとき、相手は相手でなくなり、結果として合気道の技が生まれる。
 相手の弱点を攻める、などと考えたり、言っているうちは合気道の稽古になっていない。むしろ開祖の教えに背いていて、百害あって一利なしである。言い過ぎだろうか?